ゲド戦記映画化

 数年前にハリー・ポッターが火を着けたファンタジー・ブームは、指輪物語ナルニア物語という原点的な名作にまで遡って、次々と映画化を推し進めている。
 ロード・オブ・ザ・リングスは、原作に特徴的な――というより、おそらくトールキンが最もやりたかった――創造神話的な背景を思い切って編集し、分かりやすく且つ面白い映画として成功することができた。次はナルニアであるが、指輪物語と違い完全に子供対象に書かれた原作をディズニーがどう料理するのか、楽しみなところである(その前に、一年以上借りているのだから、いい加減読み切って返せ、自分)。

 で、両者に勝るとも劣らない名作と称されるあの作品が、今度は日本からアニメの形態で映画化されることが遂に決まったようだ。即ち、ジブリによるゲド戦記の映画化である。
 ゲド戦記は中学の頃に4部『帰還の書』まで読んだが、正直なところ、当時の自分には巻を追うに連れて面白みが薄れていくように感じられた。そのせいというわけでもないが、最近邦訳された5部『アースシーの風』や『ゲド戦記外伝』には手もつけていない。
 このように、今まで敬遠してきたゲド戦記だが、この機会に4部までを読み直し、5部、外伝にも手をつけてみるのもいいかもしれない。なんと言っても、『闇の左手』のアーシュラ・K・ル=グィンの代表作なのだから。

 映画化は3部『さいはての島へ』をメインに扱うようである。ゲドがいきなり隠居間近な大賢人だったりするが、そもそもゲド戦記自体がそういう構造をしているので、問題はないか。映像メディアとして受け入れられるには、ロード・オブ・ザ・リングス並のかみ砕きが必要だとも思うが。

参考:http://www.ghibli.jp/