ペリー・ローダン通読会100巻突破記念企画 作家別傾向概略

 twitterで淡々と続けてきた #PR通読会 が1年半ちょっとで100巻に到達しました。そこで、これまでやろうやろうと思いつつ放置していた、作家ごとの傾向をまとめてみようと思います。
 個々の作品の感想や、サブタイトル中の頻出語解析などはtogetterにまとめてあるので、興味がある方はそちらも見ていただければ。


ペリー・ローダン通読会1〈第三勢力〉
http://togetter.com/li/705371
ペリー・ローダン通読会2〈アトランとアルコン〉
http://togetter.com/li/705381
ペリー・ローダン通読会3〈ポスビ〉
http://togetter.com/li/705389
ペリー・ローダン通読会4〈第二帝国〉
http://togetter.com/li/705396

ペリー・ローダン通読会外伝1 サブタイトル形態素解析とか
http://togetter.com/li/705527


 150巻までは自炊してPDFになっているし、サブタイトル&著者のデータもまとめてはありますが、100巻突破記念なので、今回は100巻までの内容を扱います。ローダンは本国ドイツの2冊分を1巻に合本していますので、例えば1巻前半(本国1話)を1a、後半(本国2話)を1bと表記することとします。ということで、今回の取り扱いは1a(1話)から100b(200話)までです。

 ローダンは、プロット作家と呼ばれる一人が展開の大枠を決め、それを元に複数の作家が共作するシステムをとっています。まずは、100巻まで200話を、どの著者が何話担当したか見てみましょう。

著者 担当話数
クラーク・ダールトン 52
クルト・マール 49
クルト・ブラント 35
K.H.シェール 32
ウィリアム・フォルツ 27
W.W.ショルス 4
H.G.エーヴェルス 1

 さらに、199話4サイクルのサブタイトルを、担当著者ごとに色分けしてみました。

 ダールトンとマールの2人でほぼ半分、残りをブラント、シェール、フォルツの3人が書いています。ショルスは極初期に4作書いただけで消えてしまいました。エーヴェルスは99bと登場が遅く1話のみの担当ですが、100bからの〈島の王たち〉サイクルでは25話を担当するなど、今後活躍していきます。
 各サイクルの冒頭をシェールが必ず担当しているのは、シェールがプロット作家だったからだと思われます。冒頭に限らず、シェールの担当回にはそのサイクルにとどまらない長期的に重要なものが多いような気がします。その代わりなのか、最初から参加している割には担当作数ではダールトン、マールに後れを取っていますね。
 一方、サイクルの締めはダールトン、フォルツ、ブラント、ブラントとばらばらでした。

 時々同じ作者が続くことがあると思っていましたが、きちんと見てみると、〈第三勢力〉〈アトランとアルコン〉、〈第二帝国〉サイクルは同じ作者が連続して担当した話がそれぞれ20, 21, 22話と、4割近くになります。3話連続したのは〈アトランとアルコン〉サイクルでダールトンが1回やっているだけでした。一方、〈ポスビ〉サイクルではブラントが2話連続担当を2回しているだけ。さらにいえば、〈ポスビ〉サイクル前半のアコン編では一回も作者が連続していません。この時期に何かあったのでしょうか?

 担当作数をサイクルごとに分けてみると、活躍時期がずれていたりはしますが、大きな偏りなくまんべんなく担当が振られている印象です。一人に過度な負担をかけずにチームワークでやっていくのが、週刊で40年以上続いている秘訣なのかもしれません。

 と、今日はここまで。明日はそれぞれの作家がどんな話を書いてきたのか、思い出せる限りで分析します。