『グイン・サーガ105巻 風の騎士』 栗本薫 ハヤカワ文庫JA

 ――そうだとも、俺は生きていた。すべての者たちの期待を裏切って、無事に生きて――あれほどの地獄から生き延びて帰ってきたのだ。

本文より

 サークルで組んだ特集で、再登場しないだろうし、するべきでもないと主張した二人(一方は一応素性隠していたが)が同時に現れてしまった前巻を受けて、このタイトルと表紙である。モンゴールのサソリの旗を掲げる女騎士なんて全く想像もつかず、最後まで緊迫感をもって読めた。登場人物紹介を見てなければ、本当に全く分からなかっただろう*1
 結局のところ、国レベルの話は今回も全く進展せず、グイン一行や、同様にある程度は流浪の身となっている意外な人物たちが出会うことで話が展開して行っている。今後の展開が予想できない組み合わせの絡みも多く、しばらくは驚きの連続になりそうである。

 100巻目指してひたすら読み続けていた頃には、刊行ペースに追いついたらすぐに続きを読めず、だれてしまうのではないかとも心配していたが、杞憂だったようだ。全く先が読めないという緊迫感。これに勝るものはない。

風の騎士―グイン・サーガ〈105〉 (ハヤカワ文庫JA)

風の騎士―グイン・サーガ〈105〉 (ハヤカワ文庫JA)

*1:というわけで、これから読む人は登場人物のページは飛ばすことを強くお薦めする。