ローダン版『レッドスーツ』の世界での処世術

レッドスーツ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)のネタバレあり!

 ジョン・スコルジーの『レッドスーツ』は素晴らしくバカバカしい傑作でした。本作の元ネタは〈スター・トレック〉でしたが、残念ながら新旧劇場版と、シャトナーの書いたスピンオフ、角川スニーカー版〈ヴォイジャー〉くらいしか分からないので、TVシリーズ特有のチープさというのは想像で補うしかないのでした。
 でも、我々には想像で補わなくてもいい週刊スペースオペラがある!


 ということで、ある日自分がローダンの世界でキャストをやっているらしいと気づいた時に身を守る処世術を考えてみました。
 ローダンの場合、旗艦ごと全滅という可能性もあるので、旗艦に乗ってしまったら主要キャラクターと任務に出なくても危険はうなぎのぼりです。自称ヒューマニストのローダンが率いる艦隊では比較的人命は大切にされますが、もちろん戦争では旗艦以外もさっくり沈められますので、旗艦以外の死亡率が極端に低いとも思えません。また、民間人として地上で暮らすという選択肢も、アコン人の卑劣な陰謀やホルンシュレッケ禍で惑星表面の生物ごと消え去るというリスクからは守ってくれません。


 絶望的に見えるローダン世界ですが、生き延びたいなら、スタトレにはなくて(?)ローダン・シリーズにはある抜け道を目指すのがお勧めです。
 その道とは、すなわちサイクル・ゲスト(筆者命名)になることです。ローダンが12.5~50巻の「サイクル」という単位で大きな物語を形成しているのは有名な話ですが、それぞれのサイクルにはたいてい重要な役割を果たすゲストが登場します。ゲストたちは当然ドラマチックな展開や、時には死ぬより目に遭いつつも、殆どの場合はサイクルの最後まで生き抜いて表舞台から引退することになります。


 サイクル・ゲストにはいくつかの特徴がありますので、積極的にそうした行動や立場を選び取っていくのが、ローダン世界で生き延びるコツといえるでしょう。ここでは、お勧めの選択肢を挙げてみます。

主要キャラのいないところで仲間と大活躍する

 いつまでも同じ顔ぶれでは飽きるからなのか、主要キャラをほとんど出さずに一連のエピソードが展開されることがローダン・シリーズには少なからずあります。特殊な組織に所属することでこのルートに入りやすくなる傾向もありますが、それ以外の方法でもいけないことはないので、比較的間口の広い選択肢だと言えるでしょう。
 ただし、このルートに入るためには最低でも相棒、できれば4,5人のチームがそれぞれの技能を最大限活かすことが重要ですので、ぼっちの人は諦めましょう。

アルコン・サイクルのマルセル・ルゥと仲間たち
最初にドルーフと接触して生き延びた若い軍人たち。創意工夫で次元に穴を開けてドルーフ世界への道を切り開いた。
アルコン・サイクルのグレイ・ビースト住人
ローダンを暗殺しようとしてハニー・トラップに引っかかった若者や、同時に暗殺を企てていた別の集団が、流刑される途中で無人の惑星に墜落。対立を繰り返しながらも生き延る。
ポスビ・サイクルの観光局第三課
実は秘密情報局のエージェントたち。スーパー・ロボットのミーチ・ハニガン軍曹を押し立てて大活躍。

科学者になる

 ローダンの世界では、科学者はかなり優遇されます。科学者だけで構成される探索船〈エクスプローラー〉シリーズに乗れば、少なくとも軍艦よりは高い生存率が期待できるでしょう。特に、複数の分野に秀で、いざとなったら医者が無理やり眠らせない限り何昼夜でも働き続けるほど研究熱心で、同僚からは胡散がられるほど突飛な理論を次々に繰り出す科学者なら、サイクル・ゲストのチケットはもう手の中にあるも同然でしょう。アカデミーに入るくらいから準備をしなくてはいけないというネックがありますが、自分のキテレツっぷりに自信があるなら目指してみるのも手です。
 ただし、このルートの場合、やり過ぎは禁物です。あくまで目の前のサイクルにだけ重要な研究をするべきです。下手に基幹技術の開発なんかをしてしまうと、タイミングによっては細胞活性装置を授けられて、相対的不死者としてサイクルを越えてローダンと行動をともにしなくてはならなくなる恐れがあります。

ポスビ・サイクルのヴァン・モデルス
ロボット心理学者、専門外の生物学でもアイディアをガンガン出していく積極性がある。
ブルー・サイクルのティル・ライデン
粘液質で周りの評価は低いが、いつの間にか自分の求めるようにプロジェクトを動かしてしまう。朝食の時間はローダン相手だろうと仕事を断る。

あなたもサイクル・ゲストになろう

 どうでしょう、どちらも狭き門ですが、救国の英雄となった上に一連の物語が終われば表舞台から引き下がりひっそり暮らせる(?)サイクル・ゲスト、もしローダンの世界に迷い込んだら、貴方も目指してみませんか?