ミュータント部隊

宇宙英雄ローダン・シリーズ〈3〉『ミュータント部隊』

  • 非常警報
  • ミュータント部隊

ミュータント部隊 (ハヤカワ文庫 SF 45 宇宙英雄ローダン・シリーズ 3)

ミュータント部隊 (ハヤカワ文庫 SF 45 宇宙英雄ローダン・シリーズ 3)

あらすじ

  • 非常警報

 無敵に思えた第三勢力も、意外と困窮していた。アルコン母船を失った今、新造する十分な機材もそれを調達する原資も持たないのだ。月面の母船跡から何か回収できないかと搭載艇を駆ったローダンたちは、母船の残骸が救難信号を発していることを発見した。このままでは、近傍のアルコン帝国前哨基地から派遣されるロボット艦隊の報復攻撃で、地球は火の海にされてしまう!
 危機を前に、第三勢力と地球勢力はついに手を結ぶが、姿を表したのはアルコン帝国のロボット艦隊ではなく、帝国に敵対する弱小種族ファンタン星人の宇宙船一隻。搭載艇の奇襲で撃沈し、地球は危機を脱する。あと、ついでにローダンがトーラに愛の告白をする。

  • ミュータント部隊

 地球の危機はまだ脱していなかった! ファンタン星人の宇宙船もまた、撃沈される直前に救難信号を発していたのだ。さらなる敵対勢力がまた地球に襲い来るに違いなかった。また、地球の旧来勢力と和解した第三勢力だったが、経済的な困窮は続いていた。そもそも、ゴビ砂漠を占拠している土地すら、アジア連合から70億で買い取る必要があるのだ。
 ローダンの行動に共感し行動を共にするテレパスジョン・マーシャル、テレポーターのタコ・カクタ、二人のミュータント(作中では超能力者くらいの意味で使われる)の助力を得て、第三勢力は人材の確保に奔走する。宇宙からの侵略に耐えるだけではなく、将来的には打って出るためには、波の人間では不十分、ミュータントたちの精鋭部隊が必要なのだ!

感想

 原住民と蔑みつつ、ローダンに惹かれていくトーラのツンデレっぷりが目立ち始める巻。ローダンはローダンで、文明が進んでるだけでトーラ自身は愚か者だと散々罵倒した直後に愛してるとか言い出して、二人の間だけ異次元である。
 はるばる地球までやってきたのに、搭載艇の一撃で沈められてしまうファンタン星人の哀れさなこと。銀河を支配するアルコン大帝国と、周辺種族の力の違いを思い知ったもの。「非常警報」はさんざん騒いだ末に結末があっけないので、第三勢力としてはほとんどただで地球旧来勢力との協力関係を得たことになる。
 「ミュータント部隊」は、文字通りローダンの快進撃を長きにわたって支える重要な存在で、今回登場した人物たちの中にも向こう百巻以上にわたって活躍する中心人物が多数。その中でも、財務相が一番重要になるとは思ってもなかったけどね。
 それにしても、部隊の集め方がひどすぎた。普通に誘拐って書いてあるし、イシ・マツさんなんて男性に家まで送ってもらった直後に誘拐されるなんて、可哀想すぎる。
 ところで、本筋になんの関係もなく一瞬だけでてきたサッカー大会が表紙に登場するのは、依光画伯なりの母国びいきなんですかね。