ドゥームズデイ・ブック

 ウィリスの長編初めてでした、ごめんなさい。
 タイムパラドックスの心配が絶対にない便利なタイムマシンが発明され、歴史研究で使われ始めた世界。プロットを端的に述べれば、中世に跳んだ学生と、それを見送った現代の教授陣がそれぞれ黒死病や新型疫病の脅威に直面する物語。実際思い返してみると、本当にただそれだけなんだけれど、とにかく登場人物が動くは喋るはで読者を飽きさせない。訳者後書きで大森望が言ってることそのままでお恥ずかしいですが、複雑なプロットよりも語りの巧さで読ませるタイプの作品。

 どうでもいいけど、恩田陸の「解説」はただの感想文で役に立たない。代わりに大森望の訳者後書きが解説の役を果たしていたり。最近よくあることですが。