懐かしきジュブナイル

 昨日のSFファン交流会ジュブナイルSFを扱う企画とのことで、何十冊ものジュブナイルが会場に集まり、参加者が思い出のジュブナイルを語り合った。固有名詞はことごとく忘れていたが内容を覚えていたような作品も多数挙げられた。
 『超能力者の島』を読んで画面一杯にうつる数字の羅列を一瞬で覚える訓練をしてみたとか、レンズマンが『三惑星連盟』しかなかったとか、共通した経験も多くあったよう。中でも『生きている首』が恐かったと、参加者のほとんどが言っていたのだが、自分は読んだ覚えがなかったのが悔しかった。

 個人的に印象深かったのは一瞬だけ取り上げられた『宇宙の漂流者』。大重力の惑星に追放された難民が、何世代もかけて意志を引き継ぎながら、放逐された帝国に復讐をとげるというもの。厳しい氷期を迎えた世代が、一時の安寧にすがって文明を捨て去ることよりも、困難を背負おうとも書物を守り意志を引き継ぐという決断をしたエピソードを今でも覚えている。
 もっともこの作品、今冷静に思い返せば、復讐劇がかなり苛烈で教育上よかったのかどうか。