終わりのクロニクル7

 シリーズ最終巻。何故か分冊を止めて電撃文庫史上最厚としたことで話題になったもの。

 この巻に限った感想から始めると、何度も進化するラスボスを倒したと思ったら真の黒幕が現れ、こいつも何回も倒さなければならないというゲームをやっているような印象であった。物語として前巻で粗方終わっていたのに、この分量はいらなかっただろう。とにかく、だるかった。

 次に、シリーズ全体の感想も。
 キャラ小説としては十分に楽しめた。登場人物は皆突飛だが、突出した個性があるわけでなければ、まとまりがないようなこともなく、非情にバランスの考えられた配置であったのではなかろうか。個人的には哀れな後輩飛場と、天然オロオロ少女のヒオの二人が読んでいてとくに楽しかった。
 しかし、それ以外では世界の浅さばかりが目に付いたように思う。現実世界をモチーフにしたLow-Gと、異なる概念が支配する10の異世界(G:ギア)という設定であったが、どのGにも"世界"を名乗るだけの広がりはなかったし、世界の根本とも言える“概念”の扱い自体も軽薄であった。多くの場合、便利な道具程度の扱いであっったし、7th-Gに到っては、世界構築には何ら関係のない戦いのためだけの概念でしかなかった。
 自分が世界観を大事にするタイプだということを差し引いても、物語の根幹ともいえる、異世界と概念の双方がこれほどまでに陳腐な書かれかたをされているのは酷いのではないだろうか。キャラさえ良ければ許される、なんていうことはありえないだろう。