乱鴉の饗宴

 〈氷と炎の歌〉第四部。元々、話の間が空きすぎてしまうからという理由で挿入された繋ぎ的な巻であるせいか、物語に大きな動きはない。大きな流れとしては、サーセイの愚行が次々と裏目に出る王都パートと、(今回出番のない)デーナリスと三匹のドラゴンがウェスタロスに大きな影を落とし始める諸侯パート。
 サーセイくらい馬鹿になると、かえってそこがいい! という人もいるみたいだけれど、個人的には苛立たしさしか感じていなかったので、今回はざまあみろ、といったところ。その他パートでは、これくらい悪役が板についてると死なないだろー、と思いこんでたあんな人やこんな人が実は死んでました、とあっさり暴露されて驚いたり、一押しアリアたんがあんな目にあってもう俺はどうでもいいや、という感じになったり。

 今回から訳者が酒井昭伸さんに交代。作者朗読CDに準拠して固有名詞を一気に変えてしまったりと、結構混乱もありましたが、岡部訳を散々叩いていた身からすれば万々歳。
 ワールドコンの時から感じてはいましたが、英米では作者朗読という文化が結構定着しているようです。綴りから発音が分かりづらい場合なんかに重宝しそうですが、ただでさえ表音性が低い漢字名で作者朗読なんて文化のない邦書を訳してる人たちはどうしているんでしょうかね。