偉大なる者

偉大なる者―リフトウォー・サーガ第1部〈3〉 (ハヤカワ文庫FT)

偉大なる者―リフトウォー・サーガ第1部〈3〉 (ハヤカワ文庫FT)

 〈リフトウォー・サーガ〉第一部三巻。原書一冊を三分冊したうちの三巻目となる――原書一冊分なのである。
 最近は〈グイン・サーガ〉とかローダンとかばっかり読んでいたということもあるけど、この作品密度は筆舌に尽くせないほど。地方の城で二人の少年から始まった物語は二つの世界、数多の種族・人を巻き込んだ激動の九年を駆け抜けて大団円を迎える。登場人物の出入りは激しいが、誰一人ぞんざいには扱われることなく、たいていの場合きちんとした結末が用意されている。大きな物語、大がかりな伏線は大長編の醍醐味だと思っていたが、これだけの分量でこれだけの物語の交錯を見せられてしまうともう脱帽するしかない。

 三部作+外伝のうちの第一部を読んだだけではあるけど、これだけでもう最近の復刊ファンタジー作品群の中から頭一つも二つも抜けてると断言できる。ミドケミアを舞台にした物語はまだまだ続くらしいから、復刊のあとは是非とも新訳を出してほしい。