読書会(ジャン=ジャックの自意識の場合)

 書影は上で挙げているので省略。

 同じく参加者のid:sindenさんが既にかなり詳しいレポを挙げて下さっているので省略……というのはさすがに投げ過ぎか。とはいえ、同じことを書いても芸がないので、shindenさんこと秋山真琴氏のレポを下敷きにダラダラ書いてみよう。ぶっちゃけ眠いのだ。

 読書会の口火を切ったのは、表紙の話。自分は何の気なしに眺めるだけだったのに、月に女性性を見いだし、女性から流れる血=月のもの/出産/流産とまで作品をふまえて読み込むセンスにはただただ脱帽するばかり。だとすると、中の赤は血の象徴? それともここだけはSF新人賞フォーマット?

 全会一致で不満だったのが、最後の投げだし降りだった。序盤から世界の再創造といった大風呂敷を広げておきながら、何も説明も解決もしないまま終わるというのは読了感としては最悪の部類にはいるだろう。ただ、反芻していて思ったのだけど、著者は底までの課程で読者の期待通りには一切話を進めてこなかった(何か筋を期待できるような進め方をしてこなかったとも言えるが)のに、最後の最後だけ期待通りの予定調和にはするわけがなかったのかもしれない。ついでに言えば、諸説あった各章や登場人物のつながりについても、何も解決しないことですべてが正しくすべてが誤っている曖昧な状態のままに留め置かれることになった。実は結構意図的にやった結末なのかも。
 だとしても読了感が悪いことに代わりはないのだけど。

 他に印象的だったのは、哲学を語るのと同じ場所でエロゲを語るような薄っぺらさを感じたという意見や、ゾンビものとしては笑いどころ満載というid:MeiseiSFさんのびっくりな視点など。前者はいつの間にか消えたさまよえるイタリア人たちや、何の説明もなく登場した兵士たちのように、説明しないことが作風というだけでは弱い部分もみられたりというところに対して。後者のような発想は読書会の醍醐味ですね。