テラ=ルナ脱出作戦

テラ=ルナ脱出作戦―宇宙英雄ローダン・シリーズ〈337〉 (ハヤカワ文庫SF)

テラ=ルナ脱出作戦―宇宙英雄ローダン・シリーズ〈337〉 (ハヤカワ文庫SF)

 大いなるマンネリと呼ばれるローダンの物語の中にも、大小様々なターニングポイントがある。この巻は、ローダンとアルコン人の出会い(第一話「スターダスト計画」/第一巻『大宇宙を継ぐ者』)、超越知性体"それ"との出会い(第19話「宇宙の不死者」/第10巻『宇宙の不死者』)に次ぐ大きなターニングポイントと言えるだろう。
 公会議勢力の圧倒的な技術力の前に、ローダンはテラ(ローダン用語で地球)とルナを恒星転送機を使って暗黒星雲プロブコン・ファウストへ退避させる長期計画を実行に移す。テラの逃亡と言われるこの事件は予想もつかない結末を迎え、銀河とテラナー(=地球人種族)はかつてない危機に立たされることになる――テラの逃亡とその後1サイクル半にわたる苦難への期待こそが、再びローダン・シリーズを手に取ることになったきっかけである。
 大事件の始まりの割には、描かれてるのはショボイ反対運動だったりするのだけど、それでもテラがソルに落ちていく場面は感無量だった。

 ここで今回の至言をば。

……成功の見通しが九十九パーセントあると結論付けたのだ。地球はソルから離脱する……

 地球と月の命運をかけた大計画の成功率がたった九十九パーセント! どっかの国の食品じゃないんだから……。