マルドゥック・ヴェロシティ2

マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)

 ボイルドとともに〈爆心地〉へ向かって速度を増しながら疾走していくような読感は爽快。ただ、面白いのは確かなのだが、前作のカジノ・シーンのような筆致には未だ出会えない。

 時に、"="や"/"などを多用しながら簡潔な言葉で進める文体は、ボイルドの思考をトレースしているということで大体よさそうだ。一巻に較べて明らかに通常文体が増えたのは、ボイルドがマルドゥック市に飲み込まれてたということの現れだろう。捜査などで論理的な思考をする際には素が出て特殊文体に戻る。