終わりのクロニクル2(上・下)

 なまじ十の異世界との交渉を描かなければならないためか、各巻かなりの分量があるにもかかわらず、それぞれの世界の作り込みがあまりに浅い気がしてならない。他は全て許容したとしても、異なる法則が支配する世界だというのにそれに基づいた独自の文化というのが見られないのは、わざわざ異世界を構築した意味がないのではなかろうか。

 悪役になりきる勇気がない自分としては、悪役たらんと常に気を張っている佐山は気になる存在である。容赦なく事実を突きつけることで相手と相対する、その様くらいしか読むべきものがないということもあるんだが。