ルーンの杖秘録1

 深町真理子の丁寧な解説目当てに以前購入してあった旧版を、復刊を契機に読んでいる。

 ムアコックといえば、病弱な主人公エルリックと魔剣ストームブリンガーの物語で、ヒロイック・ファンタジーの原点ともいえるコナン・サーガにアンチ・テーゼを投げかけた作家である。この作品でも、ひとたび発動すれば主の命を食らいつくす《黒い宝石》を植え付けられながらも反抗しようとするホークムーンの葛藤が見事に描かれている。
 もう一人の〈永遠の戦士〉らしき《黒玉と黄金の戦士》の思わせぶりな言もあり、2巻以降が気になるところ。

 〈永遠の戦士〉と、〈秩序〉と〈混沌〉の覇権争いに収斂されるムアコックの作品群は、読めば読むほど複雑な関係が構築されていくのだろう。復刊ブームの機を逃さずに、出来る限りカバーしたいもの。