眠れる女王

眠れる女王―エレニア記〈1〉 (ハヤカワ文庫FT)

眠れる女王―エレニア記〈1〉 (ハヤカワ文庫FT)

 『ベルガリアード物語』とそれに続く『マロリオン物語』で自分という作家を確立したとでも考えたのか、物語の根底に流れるべーリオンは『指輪物語』の“一つの指輪”やシルマリルと何ら変わらない。でも、当時だったらエディングスを読んだ後『指輪』を読んで、「エディングスのパクリじゃん!」なんて言う愚かな若者も少しはいたんだろうな。それにしても、工夫が無さ過ぎるが。

 『眠れる女王』は、元々角川スニーカーから出版されていた『ダイヤモンドの玉座(上)』である。折角早川で復刊したのに、新訳ではない(=続編『タムール記』と訳者が違う)上に、上下巻にわざわざタイトルをふり直して月一で刊行する“早川商法”。訳者の後書きにもやる気が感じられない。

 内容については『ダイヤモンドの玉座(下)』改め『水晶の秘術』読了後に。