京フェス本会

1コマ目 森見登美彦インタビュー

 彼の著作はノンタッチだったので、何となく聞き流す。ネコラーメンは気になった。

2コマ目 書評? ブックレビュー? ーその意味を問う

 ゲストの大森望氏が心筋梗塞のため欠席というトラブル。大丈夫だろうか、後遺症等無く復帰してくださることを願います。
 代わりに、「大森世代」代表牧眞司氏、「ポスト大森世代」代表喜多哲士氏が加わって、4人のゲストの方が、「大森式」レビューを中心にブックレビューの在り方についてパネルディスカッション。
 ファンダム的なレビューにおけるレビュワーと読者の関係や、オンラインで気をつけるべきことなど、ファンジン(月猫通り)やこのサイトなどでレビューをやってる身としては、非常に勉強になることが多かった。また、喜多氏の、自分のサイトで「読書感想文」を書いて、その中からレビューに値する本を抽出している(とアピールしている)という形式が、本家サイトで読了本メモを作成して、一部をこっちでレビューしている自分の形式と似ていて驚いた。こっちは、全部レビューするのが面倒くさいというだけなんだが。
 どれだけの知識量の人までを対象として文章を書くか、という「内輪幻想」の論議は興味深い。今後も継続して考えていかなければならない事項だろう。

3コマ目 SFファンのための世界文学入門

 前のコマで気合い入れすぎて、前半総論は意識が飛んだ。ごめんなさい。
 後半各論で挙げられた作品の大半は気が狂ったような発想のものばかり。確かに、これならSFファンでも読めそうだ。高そうなのが問題だが。

4コマ目 リアル・フィクションとは何か?

 塩澤編集長と第二期リアル・フィクションの作家が(ほぼ)勢揃いしてのパネル・ディスカッション。トラブル未遂の結果飛び入り参加になった桜庭一樹氏のテンパリっぷりが面白い。以前目にしたのが、大会のヘキサゴンの時だったので、いつもテンパっているようなイメージが付きつつある。

 新城カズマ桜坂洋桜庭一樹の三人とも、塩澤氏から話を持ちかけられたときには「SFを書いて欲しい」ということで「リアル・フィクション」の名は出なかったのに、本人たちはリアル・フィクションのつもりで書いていたというのが面白い(新城カズマのみは、SFのつもりで書いたらしいが)。

 リアル・フィクションについて、提唱者である塩澤編集長自身は、当初ジャンルという意識はなく、帯へのキャッチコピーとして考えていたらしい(源流は、Jコレの叢書名候補にリアルが使われていたことから)。一方、作家側はそれぞれにリアル・フィクションが何かということを考え込んでいたというのは、提供する側と仲介する側の違いか。

まとめ:
新城カズマ新本格がミステリ読者の為のミステリであったように、リアル・フィクションの主人公たちに過去のSFを強く意識させて、SFの棚卸し、SF的アイディアの再検討を行った。
桜坂洋:原初サイバーパンクの描く未来は格好良かったが、現実はそれに近づいているので、より現実に近いところからサイバーパンクを作り直す。
桜庭一樹リアル・フィクション=青春小説 現実と虚構の区別が曖昧で、それをはっきりさせる必要はない。

ゲームの影響:
 マルチエンディングに慣れた読者は、作者の意図以外にも小説を受け取ることができる、ということを作家側はわきまえて書くべき。
 皆がそれぞれのリアル・フィクションという概念を抱いている現在、リアル・フィクションはマルチエンディングである。

とりあえず、最大の名言:
「話を聞いてて、大分分かってきたな」(塩澤編集長)