遠すぎた星

遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF)

遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF)

 アメリカでは大人気(らしい)のジョン・スコルジーが描く〈老人と宇宙〉シリーズ第二弾。前作の時点で「老人」である意味はかなり薄れていたのだけれど、本作の主人公は老人どころか新生児。悪い邦題だとは思わないけれど、重要なところで失敗してるよなあ。

 意識転送とアイデンティティという、料理次第ではいくらでもやりようがある題材を扱っていながらも、その方面は通り一遍にしか触れられず、相変わらず『宇宙の戦士』風のスペオペ・ミリタリー・エンターテインメントに徹している。軌道からの単身降下はもう欠かせないシチュエーションのようで。

 人類を含め二種属以外の知性種族が参加するという宇宙大会議〈コンクラーベ〉や、名前だけが出てきた〈反コンクラーベ〉など、前作では混沌としていた世界観の大枠ができあがってきたところで、第三部へ続く。

 とにかく『宇宙の戦士』オマージュという印象が強すぎて、他の感想が出てこないというのが現実。