マーガレットにリボン

 また短篇集ですか! と思ったら、前編書き下ろしらしい。だからなんだ。


 他の短篇集と同じく、本編で少しだけでてきたエピソードの補完、というより裏話。
 ずっと気になっていることだけど、どうしてこの人はあれにもこれにも説明をつけたがるのだろうか?
説明をすることで台無しになることもあるというのに。
 『レイニー・ブルー』でなくなって『パラソルをさして』で返ってきた祐巳の青い傘について、返ってくるまでの変遷を延々と書かれたのには正直閉口した。いくつもの奇跡が重なって返ってきた、で済ませるのが一番なのに。


 個人的にずっと気になっていた「さん」づけ問題に言及があったのは嬉しいこと。先々代薔薇様、先代薔薇様、さらには新つぼみコンビすら互いを呼び捨てなのに、祐巳たちだけはいつまでたっても「さん」づけ。マリみてを同期小説と位置付けてる身からすると、その呼称が意味する距離感が気になって仕方なかったのだが……。

 というのは、実を言うと現実の裏返し。上の年代の人たちを見てると、互いを愛称だったり呼び捨てだったりでとても仲が良さそうにみえるのに、我々世代はいつまでたっても「さん」づけ。なんだかなあと思っていたのだけど、結論としては祐巳たちと同じ、こっぱずかしいのだ。