プリズムの瞳

プリズムの瞳

プリズムの瞳

 専門分野から引退させられ、ロボットなりの絵を描き続けるピイ・シリーズ(P is for Professional-Type)。ピイたちと交錯した人の姿を描く連作短編集。

  • レリクト・クリムゾン
  • クラウディ・グレイ
  • ミッドナイト・ブルー
  • シュガー・ピンク
  • メモラブル・シルバー
  • ミラーリング・ブラック
  • エバー・グリーン
  • トワイライト・パープル
  • サティスファイド・クリア

 『デカルトの密室』、『アイの物語』と併せて00年代三大ロボット小説といえそう。
 不気味の谷に完全に陥って排斥されてしまったフィー・シリーズと異なり、人の心の機微を理解できないピイ・シリーズは不気味の谷の縁にいるのだろう。そんな絶妙な距離感が、ピイたちを心の鏡にして、交錯する人たちを映し出す。

 説教じみた感傷を並べる中に鋭いナイフのような生の感情をぶつけてくるいつもの菅流は健在。幕間を正しく把握するには再読が必須かも。