チャリオンの影

チャリオンの影 上 (創元推理文庫)

チャリオンの影 上 (創元推理文庫)

チャリオンの影 下 (創元推理文庫)

チャリオンの影 下 (創元推理文庫)

 本人が望まない英雄譚の中では屈指のできではなかろうか。中年で異国帰りの主人公といえばスパーホークが真っ先に挙がるが、世慣れたやんちゃ坊主といった方が似合いそうな聖騎士彼と、本編主人公のカザリスとは正反対といってもいい。豊富な人生経験を持ちながらも年相応の分別で目立った行動を起こせないカザリスの代わりになるのが、彼の教育を受ける国姫イセーレ。二人が車の両輪となって動かす物語はバランスが良くとれた異世界宮廷ものの王道。

 長いものばかり読んでるせいか、上下巻でひとまず大団円を迎えたのが新鮮だった――というのは自分くらいか。

 続編の"Paladine of Souls"はensembleの同人誌"Void Which Binds"で東茅子さんがレビューされていたような気が。やっぱり原書で読める人はうらやましい限り。"A Feast for Crows"はがんばろうか。

 どうでもいいけど、原書情報ページにある"Copyright @ 1991"は2001の間違いだよなあ。