沈黙のフライバイ

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)

 様々な方法で宇宙を目指す人々を描く短編集。時に現実の天文学的事件を交えて組み立てられるロジックはシンプルで、すぐにでも実行できそうな気さえしてくる。
 登場人物はみな夢にあふれ、魅力的なパーソナリティを備えているのだが、理詰めで描かれるのが災いして冷たい印象を与えるのが少し残念。『太陽の簒奪者 (ハヤカワJA)』の白石亜紀もそうだったし、野尻SFに特有の人物像で、そこが魅力でもあり欠点でもあるのかも。