赤朽葉家の伝説

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 びっくりするくらい面白かった。
 桜庭一樹の本をそれほど読んでいるわけではないのだけど、どの作品でも現代に閉塞感を抱く等身大の少女を書こうとして後一歩及ばず、のような印象があった。この作品で描かれる3人の女も、それぞれの時代を一人の女として生きる、という点では過去の作品と同じなのだけど、その描かれ方がとても自然。「ついに本領発揮!」なんていう帯の煽りは大抵眉唾だが、この作品については的を射ているだろう。桜庭という少女(?)と作品の雰囲気が遂にシンクロした感じ。

 あと、こういう淡々と静かに情景を織り上げるような文調が自分の好みである、と最近気づいた。