快楽の都

快楽の都―グイン・サーガ〈110〉 (ハヤカワ文庫JA)

快楽の都―グイン・サーガ〈110〉 (ハヤカワ文庫JA)

 すっかりお気楽道中になってしまった最近のグイン・サーガだが、これはこれで既存の小説にはない新しい境地を切り開いているのではないかと思い始めた。本筋とは関係ない“遊び”を大量に取り混ぜることで、広がりと奥行きのある豊かな世界が読者に提示されているのだ。食事から生物、土着の文化に至るまで固有のものに取り囲まれたそこは、まさに異世界である。

 というわけで、最近の一見停滞しているとも言える数巻も結構好きなのだが、願わくば元気なうちに完結にまでこぎ着けて欲しいもの。今のペースだと……。