果樹園にて

 月曜から本日まで五日間、大学付属の果樹園で実習を受けてきた。自宅から90分強、1500円弱の果樹園まで毎日通えるわけもなく、殆ど全員が併設のオンボロ宿舎に合宿。
 夏の農場合宿の時とは異なり、今回は事前に食事内容など全く決めず、大体その場の雰囲気で鍋やシチューを作った。いつの間にか厨房に沢山人が集まり、皆張り切るのでいつも大量に出来上がる。あまりが出ることはほとんどなかったのは、余程美味しかったのか、皆お腹が空いていたのか。
 食後は、合唱サークルのパートリーダー主催の合唱練習(?)やら、発泡スチロール球を利用した手作り分子模型講座など、面白い企画が盛りだくさん。気分に応じて参加したり、見物したり。
 果樹園スタッフも交えた最終日を除き、酒量は控えめだったが、まったりと語り合う。グラス片手に、クラスメートと歓談する夜更けは、至福の時。
 最終夜は、果樹園を取り仕切る先生が熱く語る。先を先を見て生きないと。

 と、合宿の話ばかりじゃ何をしに行ったのか分からないか。
 最初の三日間は果樹の整枝剪定。要は、来年良い果実が沢山採れるように不要な枝を切り落とす作業である。モモ、カキ、キウイフルーツと、それぞれ性質が違い、上手くデザインするには頭を使う。農業は、身体以上に頭脳を使う仕事なのだ、ということはこの一年でよくたたき込まれたと思う。
 四日目は神奈川県の農業試験場見学。それまでの実習で散々剪定をしてきたので、県農試の圃場の美しさが極めて良く分かる。栽培手法だけで、様々な工夫が行えるものである。分子生物学的な研究をやりたいのはたしかだが、こういった面を忘れては行けないだろう。
 五日目、ハッサクの収穫。かなりカイガラムシにやられていた。実習中、毎食のようにミカンやハッサクを食べていたので、もう飽きた。