宇宙の不死者
宇宙英雄ローダン・シリーズ〈10〉宇宙の不死者
宇宙の不死者 (ハヤカワ文庫 SF 128 宇宙英雄ローダン・シリーズ 10)
- 作者: K.H.シェール,クルト・マール,松谷健二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1973/09
- メディア: 文庫
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- 宇宙の不死者
- 金星の危機
あらすじ
- 宇宙の不死者
ローダン一行はついに不死者の課題をすべてクリアし、人工惑星ワンダラーへたどり着いた。そこに待っていたのは種族の意識が統合された超越知性体”それ”だった。”それ”はローダンに細胞活性シャワーを与えたが、クレストとトーラに与えることは拒んだ。アルコン人にはかつてチャンスを与えたが、もはやその命運は尽きたというのだ。
- 金星の危機
地球に戻った一行は、地球では4年半の時が経っていたことを知る。ワンダラーへの旅のどこかで、時間の流れが歪んだのだ。長期に渡るローダンの不在の間に東ブロックでは革命が起こり、反〈第三勢力〉政府が樹立していた。革命政府は金星基地へ艦隊を送り、金星の古アルコン基地を奪取しようとしていた。
一行は地球へ帰る間も惜しみ、金星へと急ぐ。技術力では圧倒するローダンたちだが、非常事態を前に完全封鎖状態となってしまった金星基地へアクセスするため、金星のジャングルへ降りることを余儀なくされる。
感想
2,600巻、作中時間にして数千年経っても主人公が変わらない秘密は、”それ”からローダンはじめ主要登場人物が不死化処置を受けているからである。まずは62年ごとの細胞活性化シャワー、後に不死化手段は変遷していくけど、それはその時に。あれだけ苦労した果てに拒絶されたトーラとクレストの絶望はいかに!?
不死者の次に、ジャングル惑星金星再びというギャップがローダンらしいよね……。それにしても、不在中の代理が変な行動しないように精神ブロックかけてたり、疲労困憊の中でジャングル行を強引に進めたり、ローダンはかなり無茶苦茶。こんな上司についていきたくないです……
死にゆく太陽の惑星
宇宙英雄ローダン・シリーズ〈9〉『死にゆく太陽の惑星』
死にゆく太陽の惑星 (ハヤカワ文庫 SF 97 宇宙英雄ローダン・シリーズ 9)
- 作者: クルト・マール,クラーク・ダールトン,松谷健二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1973/07
- メディア: 文庫
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- 死にゆく太陽の惑星
- ツグランの反乱
あらすじ
- 死にゆく太陽の惑星
ゴルからフィクティヴ転送機で一行が飛ばされたのは、故郷銀河を遠く離れたどこともわからぬ死にかけた星系。巨星化間近な太陽を回る惑星トラムプには、無邪気で遊び好きなビーバー種族が住んでいた。強力なテレキネシスを持つ彼らにとって、《スターダストII》は巨大なおもちゃでしかなかった。
子供のようなビーバーたちに翻弄されながら、なんとか課題をクリア。
- ツグランの反乱
トラムプからヴェガへ遷移で戻るはずだった一行だったが、気がついてみれば到着したのは見知らぬ星系。ビーバー種族の一匹が《スターダストII》にまぎれており、テレキネシスで遷移ポイントをいじってしまったのだ。テレパスとテレキネシスを操るネズミ=ビーバーは愛くるしい外見からローダンに気に入られ、グッキーと名付けられてミュータント部隊に加わった。
おりしも、一行がたどり着いた惑星ツグランでは、アルコン帝国の有名無実な支配から独立しようというロードと、無意味な行動を諌める弟の対立が現実のものになりつつあった。ローダンは対立に巻き込まれ、ロード陣営に捉えられてしまうが、グッキーの活躍で救出される。
感想
ローダン・シリーズのマスコット、グッキーが登場。もしかして、ローダンの次に有名な存在なんじゃないかって思うんだけど、どうだろう?
個人的にローダンの中で有名だと思う人物を順番にあげてみる。
- 瞬間切り替えスイッチ、ローダン
- みんなのアイドル、グッキー
- 時の流れの外に一人立つアトラン
- 仮面の男、アラスカ・シェーデレーア
- ローダンの嫁1、トーラ
- ローダンの長男にして自由商人の王、ロワ・ダントン
銀河の時空を抜けて
宇宙英雄ローダン・シリーズ〈8〉『銀河の時空を抜けて』
銀河の時空を抜けて (ハヤカワ文庫 SF 87 宇宙英雄ローダン・シリーズ 8)
- 作者: クラーク・ダールトン,クルト・マール,松谷健二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1973/04
- メディア: 文庫
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- 銀河の時空を抜けて
- ゴルの妖怪
あらすじ
- 銀河の時空を抜けて
不死種族の次なる試練で、フェロンの戦国時代へ飛ばされたローダン一行。一万年前のアルコン植民団と出会ったりしながら、ミュータントやアルコン技術の無双で課題をクリア。
- ゴルの妖怪
次のシュプールはヴェガ星系の巨大惑星ゴルを指していた。大重力に、エネルギーを糧とする謎の発光生物などに苦しめられながらも、またもミュータントの活躍で課題をクリア。
感想
ひたすら不死者のシュプールを追っては課題をクリアし続ける物語が続く。基本的にミュータントに順番にスポットライトが当たる構造になっていて、ようやく出番のでてきた人も。ただ、アンネ・スローンのヒロイン・アピールがかなり強い。トーラが空気。
六つの月の要塞
宇宙英雄ローダン・シリーズ〈7〉『六つの月の要塞』
六つの月の要塞 (ハヤカワ文庫 SF 81 宇宙英雄ローダン・シリーズ 7)
- 作者: K.H.シェール,クラーク・ダールトン,松谷健二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1973/02
- メディア: 文庫
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- 六つの月の要塞
- 銀河の謎
あらすじ
- 六つの月の要塞
トプシダーをヴェガ星域から放逐すべし、ただし無血で! と相変わらず中途半端なヒューマニズムを発揮したローダンによって、複雑極まる作戦が実行される。無事、トプシダー艦隊を追い返したかに見えたが、最後の瞬間にクレストの介入で予期せぬ結果となる。
- 銀河の謎
トプシダーを放逐したローダン一行にとり、ヴェガ星域にとどまる理由はただひとつ。赤い宮殿の地下に眠る時間庫の秘密を解き明かすこと。フェロン人たちに空間転送機を与えた謎の種族こそ、トーラとクレストが探し求めていた不死の秘密を握っているのかもしれないのだ。
アルコンのポジトロン脳とミュータントの超能力を駆使して、謎の種族の残すシュプールを追う長い旅が始まった。
感想
ローダンのヒューマニズムとアルコン人の呵責の無さといえば、ローダン対アトランの図がすぐに頭に浮かぶけど、こんな頃からあったのね。
ついに不死者探索行が始まった。それにしても、複数のミュータント能力を要求するっていうのはあまりに地球人に的が絞られた試練ですね。
時間地下庫の秘密
宇宙英雄ローダン・シリーズ〈5〉『時間地下庫の秘密』
- ミュータント作戦
- 時間地下庫の秘密
時間地下庫の秘密 (ハヤカワ文庫 SF 78 宇宙英雄ローダン・シリーズ 6)
- 作者: クルト・マール,クラーク・ダールトン,松谷健二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1973/01
- メディア: 文庫
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あらすじ
- ミュータント作戦
ヴェガ星系に来てみたものの、トプシダーの有する800m級アルコン戦艦にあえなく撃墜されてしまったローダン一行。状況は詰んでいるが、そんなことでめげるローダンではなかった。
どうせアルコン帝国からトプシダーがパクったものなんだし、あれもらっちゃえばよくね?
ここに、ローダンの快進撃を支える、相手の先進技術や兵器をミュータントを駆使して強奪する作戦の第一号が始まった。今回鍵となるミュータントは、テレポーターのタコ・カクタとテレオプティカー(遠くの人の五感を共有できる超能力者)のラルフ・マルテン。精神干渉装置を持ったタコが飛び回り、司令官に命令させてアルコン戦艦をローダン一行に明け渡させることに成功するのだった。
- 時間地下庫の秘密
強奪したアルコン戦艦《スターダストII》で一旦地球に帰った一行だったが、搭乗員を確保すると再びヴェガに舞い戻る。強奪作戦で共同戦線を張った現地住民フェロン人をトプシダーの支配から開放するのだ。
今回活躍するのは、ヒュプノ(催眠術者)のアンドレ・ノアール。テレポーターのラス・ツヴァイや、テレキネシスのアンネ・スローンらと共にトップ層を散々かき乱し、見事トプシダー艦隊を追い返すことに成功する。ローダンとしては脅すだけに留めるつもりだったが、最後にアルコン人のクレストが介入。トプシダー艦隊は恒星の只中に遷移して壊滅してしまう。
フェロンにある物質転送装置の謎を解くため、一行は赤い宮殿の地下へ向かう。一万年前に彼らに転送装置を授けた種族こそが、クレストたちが地球へやってきた理由、不死の秘密を握っているに違いないのだ! ここでもまたミュータントたちを駆使して時間地下庫を突破した彼らは、不死族からの暗号を手にする。
感想
ミュータント無双による技術強盗というのは、以後繰り返され、ローダンが宇宙に覇を唱える原動力となる十八番戦術である。基本的に、地球オリジナル技術というのはほとんどなくて、大部分が敵から強奪した技術+それのアレンジになるのが、高度経済成長時の日本を彷彿とさせますね。
決戦! ヴェガ星域
宇宙英雄ローダン・シリーズ〈5〉『決戦! ヴェガ星域』
- 地球救援
- 決戦! ヴェガ星域
あらすじ
- 地球救援
金星の旧アルコン植民団基地で一人乗りの戦闘艇6機を発見したローダンたちは、再びIVsが侵入したとの報を得て地球に舞い戻る。
ミュータントたちの能力を持ってすれば、精神寄生体IVsたちの本体を見つけることも可能だが、それには相手の不意をつかなければならない。学習したIVsたちの警戒は厳しく、容易に隙を見せなかった。そこでローダンは、IVsに取り憑かれていることが確実なギャングの長キャノンに対して、一計を案じた。精神が入れ替わっていることに気づいてないふりをして、キャノンを〈第三勢力〉の拠点ギャラクト・シティに招くのだ!
テレパスのジョン・マーシャルの活躍により、作戦は無事に成功。IVsの本体を確保したローダンは、侵略の進んでいたニューヨークを開放。さらにIVsたちを地球圏から永久に追放したのだった。
- 決戦! ヴェガ星域
IVsとの死闘から三年、第三勢力と地球は平和のうちに力を蓄えていた。しかし、その平和は永続するものではなかった。かつてアルコン船が、ファンタン星人が発信した救難信号をキャッチしていたのは、IVsたちだけではなかったのだ。地球から27光年離れたヴェガ星域に次々宇宙船が遷移してくるのを、第三勢力の警戒網が探知したのだった。
主力メンバーをアルコン搭載艇《グッド・ホープ》に詰め込み向かった先で一行が発見したのは、アルコン帝国の救助艦隊ではなく、トカゲ種族トプシダーの侵略艦隊だった。トプシダーは4年前の救難信号をキャッチしたものの、発信源を間違え27光年離れたヴェガ星域にやってきたのだった。侵略者に蹂躙される現地のヒューマノイド種族フェロン人を見たローダンは、非道な侵略に介入することにした。非ヒューマノイド許すまじ!
《グッド・ホープ》と6機の戦闘機は性能面でトプシダー艦隊を凌ぎ、撹乱は成功しているかに見えたが、突如現れたアルコン製の800m級戦艦に《グッド・ホープ》が撃墜されてしまう。如何にしてか、トプシダーはアルコンの超弩級戦艦を我が物にしていたのだ!
感想
なんだかよくわからない理由で、複雑な作戦を繰り広げるというのはローダンではよくある話。アルコン人の二人があれだけ恐れていたIVsだけど、今後は一切登場しない。この時代の地球は急成長期で、過去相手にした敵などいちいち構っていられないのだ。
ローダン、副官のブルに主力のミュータント部隊、アルコン人二人と、重要人物をほとんど総詰めにして、未知の星系に飛んでいくという無茶っぷり。案の定撃墜されて半ば積んでるし、リスクヘッジってものを少し覚えたほうがいいと思いますね。